携帯メールで妹を釣ったら本気になった・第2話

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そして約束の日がやってきた。
約束の時間は午前11時、場所は市内にある某喫茶店。
その日は朝から本当に忙しかった。
妹が何度も俺の部屋にやって来て、今日デートに着て行く予定の洋服の候補を何着も部屋に持ち込んで、「これとこれどっちがいいと思う?どっちが大人っぽい?」とか聞いてきた。

「どっちでもいいんじゃない。お前のありのままを見せれば」

もちろん知ってたが、試しに相手の年齢も聞いてみた。

「相手の年はいくつなんだよ?」

「26歳だよ」

「へぇ、俺と同じだな」

(そいつは俺だよ)

愛があれば年の差なんてとは言うけれど、妹は架空の人物である俺との年齢差を気にしていた。
妹は自分が子供に見られるのが嫌で、朝も早くから大人っぽく見せるためにせっせと決めまくっていたのである。
そして約束の時間まで残り30分となった時、妹が約束の地へ出掛けた。
それを見送った俺も後を追うようにして家を出た。

約束の場所に到着した俺は駐車場で足が止まってしまって店に入るのを躊躇した。
今までの俺であれば、中に待ってるターゲットを期待して何の躊躇も感じることもなく入っていくのだが、その時には違っていた。
妹とメールを本格的に始めた時に、妹以外のメル友は切り捨てて妹だけに専念していた。
彼女とも連絡は取っていない。

店の外で気持ち的にすったもんだした挙句、ようやく店に入ることができた。
俺が店の中に入った時、妹は表通りに面した窓際の席に座っていた。
そして後から入店した俺の姿をすぐに見つけたのか不思議そうな顔をしながら声をかけてきた。

「なんで兄貴がここにいるわけ?」

「俺か?今日は友達と待ち合わせなんだよ」

我々の住むところは地方の中規模都市だが、村に1軒しかない喫茶店じゃあるまいに、こんな偶然がありえるわけがないのである。
それから俺は妹が座る席とは別のところに陣取って、妹の出方を横目で見ながら窺った。
妹も疑念が湧いたのか、時折こっちの方を見ながら俺の様子を探っているようだった。
そして妹の疑念が確信へ変わったのか、それを晴らすために遂に最終兵器である携帯電話を手に持ってメールを打ちはじめた。
そのメールを送る相手はおそらく俺だろうとは思ったが・・・。
そして遂に我々のメル友関係に終止符を告げるためのメールが俺の手元に届いたのである。
それは俺がいる現在の所在地を尋ねてきたメールだった。

『今、どこにいますか?』

『僕ならもう店に来てるよ』

こうして我々のメールは終わった。
後にも先にも1人の女にここまで大量のメールを送ったことはない。

予定がなくなってあぶれてしまった我々はせっかくの機会だからドライブに出掛けた。
俺は妹のことが気がかりだったが、見ただけでは思ったほど落ち込んでいる様子はなかった。
妹とメールをやるようになってから前に比べてお互いの距離が近づいたような気がしてたが、それはメールの中だけの話であって、現実の世界では違っていた。
俺はともかくとして妹にしてみれば一番知られたくない身内に自分の秘密を暴露してしまったのだから気まずいと思うのは仕方ないことだった。
しかし、それは俺も同じだ。

その日は妹の憂さ晴らしに引っ張り回されて遊び呆けていたら、あっと言う間に時間が過ぎてしまって、帰ろうと思った時には夜の11時に近かった。
俺はもうそろそろ終わりにしなければと思った。
帰途の車内で妹とは会話らしい会話もなくBGMばかりが機械的に流れてて、俺はなんとも居た堪れない気分になっていた。
家が近づくにつれ俺の胸の中にはもやもやした感情が湧いてきた。
俺はそれから逃げたくて、わざと車を遠回りさせていた。
しかし、そんなことを続けるわけにはいかなかった。

やがて車が家に着いた時、俺のもやもや感はもはやピークに達していた。
そのあまりの息苦しさで吐き気すら感じたくらいだ。
妹は家に着いてもまだ無言で黙ったまま。
俺を責めるようなことは言わなかったが、逆にそれがいじらしかった。
俺は自分が今味わってる意味不明な感情が何であるのかどうしても知りたかった。
このまま妹とのことを終わらせたくない気持ちから、自分の車を車庫に押し込んで、先に車から降りて家の玄関先に立っていた妹を抱き寄せて唇を奪った。

どれだけの時間そうしてたか覚えてないが、長かったような短かったような気がする。
それが我々のファーストキスだ。
そして妹にとっては本当のファーストキスでもあった。

その時、俺はキスの相手が自分の妹だったことをすっかり忘れてしまってた。
誰かが背中を叩くまで自分が妹にしてしまってる行為には気づかないでいたのだ。
不意に妹に背中を叩かれて、ふと我に返って、妹の唇から唇を離した隙に妹は抱いていた腕の中から逃れて2階の自分の部屋に駆け出してた。
俺は自分の部屋に戻ってから今まで張りつめていた気持ちが切れてしまって、虚脱感を感じる中で隣の部屋にいるはずの妹にこれが最後と決めて1通のメールを送った。

『ごめん。だけどあれは嘘じゃないから・・・』

その翌朝から恒例だった妹から届くモーニングメールがぴたりと止まった。
何度かセンター問い合わせをしてみたが、何度やっても妹からメッセージを受信することはなかった。
俺の予想した通りの当然の結果だった。

その翌日から俺は極力妹とは顔を合わせないように心掛けた。
妹にしても俺の顔は見たくないはずだと思ったので、食事も一緒にならないように避けていた。
それでも同じ家に住んでるので妹と偶然に顔を合わせることは避けようがなかったが、あの日のことで妹に何かを言われるようなことだけはなかった。
俺にしてみれば偶然からメールが始まったと思ってることがせめてもの救いだった。
最初の2、3日は来ないはずのメールを期待してセンター問い合わせをしてみた。
しかし届くメールは決まってアダルトサイトの広告ばかりで問い合わせをするのを止めた。
その連鎖で当時付き合ってた彼女とも別れてしまったので手持ち無沙汰な日々が続いた。

そして季節が1つだけ進んで、その出来事が起きた春から夏へと変わった。
去年7月の海の日の朝、俺は朝早くから鳴った携帯の着信音で飛び起きた。
前夜に携帯の電源を切り忘れてたせいで電話に叩き起こされてしまったのである。
そんなことは妹とメールをやっていた時以来だった。
それを思い出した俺の胸が少し疼いた。
メールの送り主を確認してみると妹だった。
一瞬、我が目を疑ってしまった。
しかし、そのメールは間違いなく妹から届いた俺宛てのモーニングメールだった。

『おはよう!暇だからどこかに連れてってよ』

『本当に俺でいいのか?』

『いいけど・・・あんなこともうしないでよ』

『しないよ。約束する』

その日は海の日だった。
だから海に行こうと俺は思った。
それは妹との約10年ぶりの海水浴だった。

当日妹が着ていた水着は白のビキニで、パッと見では下着にでも見間違えてしまうような代物だった。
今年になって買ったばかりだと言っていたが、もうちょっと色の濃い水着にして欲しいと思った。
妹だと言っても目のやり場に困ると思ったからだ。
見てみると体の方も幼児体型は卒業したみたいで、すっかり大人の女の体になっていた。

久々に楽しい時間を過ごしたような気がした。
しかしそんな時に限って時間はあっと言う間に過ぎてしまうものである。
気付いた時にはもう夕方になっていた。
あれほど沢山の人たちがいた浜辺も多くの人たちが帰途に就いたみたいで、浜辺に残ってるのは十数人程度しかいなかった。
明日のこともあるから早めに帰ろうと思って、「俺たちもそろそろ帰ろうか?」と呼び寄せると、妹は俺の方にすり寄ってきてから不意に自分の体を俺の方へ預けてきた。
俺の肩口に妹の頭が乗っているような状態だ。
俺は妹が突然とってきた行動が何を意味するものなのかが分からなくて動揺しまくってしまい、自分がとるべき行動が分からなかった。
前のこともあるので、その時には妹に何もしようとは思わなかった。
また暴挙に及んで妹と疎遠になってしまう方が嫌だったからだ。

「帰るぞ」

俺が妹の肩を抱きながら帰宅しようとしたら、妹が足を止めてしまった。

「まだ帰りたくない」

この状況だけでもかなり頭が混乱してたのに、何の脈略もなく唐突に妹から言われた言葉でより頭が混乱してしまった俺は、今まで思ってたことがそのまま口から出てしまってた。

「だってお前、俺のことが嫌だったんじゃないのか?」

前の出来事の時には逃げたはずなのに、今日こうして俺といることが、俺としては不思議でならなかった。
まして今の状況は誰がどう見ても恋人同士にしか見えない。
妹の行動がどうしても理解できなかった俺が、「俺にわかるように説明してくれよ」と聞くと、「だって感じちゃったんだもん」と小さな声で答えが返ってきたのである。

「あの時、体に電気が走ったみたいになって」

よく聞き取れなかったが、妹が言ってたことは初キスのことだというのだけは理解した。

「あれから兄貴のことばかり考えてたの」

優柔不断な妹らしい遠回しな物言いでの告白だった。

「俺もお前のことが忘れられなかった」

日本海に沈みかけた夕日が本当に綺麗だった。
気持ちが繋がった。
時と場所と相手と自分が納得できさえすれば、妹だろうが関係がなかった。
妹を自分の物にしたいと思った俺は、海から離れてラブホテルを目指して車を転がした。
車を転がしながら目的の場所を探してる俺の行動の意味を妹はわかっていたようだったが、黙ったまま俺の横顔を見つめていた。

海沿いの道を離れて繁華街を通り越しひたすら幹線道路を走ってこれから山間に差し掛かろうとしてた時、場違いで派手なネオン看板が光ってる目的の場所を見つけた。

「お前、こういう所は初めてか?」

自分の手を伸ばして妹の手を握り締めて聞いてみると、妹は首を縦に振ってから、「初めて」と言っただけで肩にもたれかかってきた。
繋いだ掌が僅かに湿気ってる。

(お前は処女なのか?)

ついでに聞いてみたかったが、その言葉は飲み込むことにした。
俺としては妹が処女でも非処女でもどちらでも良かった。
どちらであったとしても俺の気持ちが揺らぐことはなかったから。

そして我々は部屋へ向かった。
湯船にお湯が溜まるまで2人で何かを話そうと思ったが、会話も途切れがちで余計に緊張感を煽るだけだったので、「お前も一緒に入るか?」と妹を風呂に誘ってみたが、「後で1人で入るからいいよ」と無碍もなく断られた。
1人で風呂場に入ったまではいいが、風呂に入ること自体も途方もない時間のように思えたので、すぐに妹に風呂の順番を譲った。
続いて妹が風呂場へ向かったが、妹を待っている時間がやたらと長く感じた。

<続く>

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