携帯メールで妹を釣ったら本気になった・第1話

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当時高校2年だった妹は、暇があれば友達と携帯でメールをやっていた。
メールの相手は学校の友達だと思うのだが、いつも携帯を弄り回していた。
家で食事をしてる時にでも携帯を手元に置き、食事中にも関わらず相手からメールが届いたらすぐに返事を送り返していた。
親から携帯のパケット通信の使用料が高過ぎるから控えるように言われてもメールを止めない。
携帯を持った当初は携帯の料金は自分の小遣いで賄うはずだったのに、いつの間にか親から足りないぶんを出してもらうようになっていた。

だが、親もそうは甘くない。
あんまりに程度が悪いから料金の補填をストップしてしまった。
そして矛先は俺に向けられた。
それに怒った俺は親になんとかしてくれと頼み込み、その対応策として親が妹の携帯の契約を定額制に変えた。
そこまでは良かった。
だが、これを機に妹の携帯依存症はなおさら酷くなってしまった。
朝から晩まで暇さえあればメールばかり。

「メールをやってる時間があったら相手に会いに行けばいいだろう」って何度も言ったが、それでも減る様子がなかった。

俺はやりたい放題の妹に兄として鉄槌を下すため、ある策略を思いついた。
その策略とは妹をメールで釣り上げることだった。
俺もメールは嫌いではない。
それどころか女とメールをするのを得意としている。
当時、付き合ってた彼女は出会い系サイトで知り合ったし、女性のメル友を多数抱えていた。
そのほとんどが成人の女性だったので、妹のような小娘をたらし込むことなど簡単だと考えた。
釣られた相手が兄貴の俺だから良いが、これが他人だったら現在の物騒な世の中では何をされるか知れたものではない。
そんなことにでもなってしまったら身内としては嫌なので、穏やかな形でメール漬けの妹に自称ネットナンパ師の俺がお灸を据えることにしたのである。

ちなみに妹は困った人を見かけると放っておけない性格をしてる。
それを逆手に取った。
俺は妹に間違いメールを送ろうと考えた。
しかも架空の会社の重要な連絡で、何が何でもすぐに連絡を入れないと緊急事態に陥ってしまうかのようにメールの上で装うことにした。

作戦決行の日、俺は溜まってた有給休暇の消化も兼ねて仮病を使って会社を休んで磐石の体勢で作戦の遂行にあたった。
俺は妹に宛ててメールを打った。
それは自分の女にメールを送るより遥かに気を遣った。
妹のやさしさに訴えかけるように、大人の男性を思わせるようなメールを打った。
送信するまで何度も書いては消してを繰り返し、結局は70回以上もメールを打ち直してから送信ボタンをクリックした。
返事が返ってこなくても良かったが、できれば返ってきて欲しいとメールに願いを込めて。

俺は自分の妹のメールアドレスを知らなかった。
身内だから電話だけで済むのでメアドを知る必要がなかったのだ。
ちなみに妹も俺のメアドは知らなかった。
妹のアドレスの取得まではそれなりに苦労した。
自分の妹だから兄貴が聞けば簡単に教えるはずだが、妹に面と向かって教えてくれと頼むのは気恥ずかしく、言い難いものがあった。
そこで妹の友達から妹のアドレスを聞き出した。
友達は少し変に思ったみたいだが、俺はれっきとした兄貴なので快く教えてくれた。
それがあったから作戦が遂行できたのである。
友達がどうしても教えくれない時には金を掴ませてもいいとさえ思ってた。

そして俺がメールを送った約1時間後、携帯の着信音がした。
それは妹からだった。

『メール間違えてませんか?』

これが妹から届いたメールの最初の本文だった。
思惑通りに妹は俺に釣り上げられてしまった。
しかしこれはほんの序章に過ぎなかった。

長年一緒に過ごしてきたから、俺としては妹の性格は熟知してるつもりだった。
俺はすぐに再度確認のためのメールを送信した。
メールは緊急扱いになってるので時間を置いてしまったら妹に怪しまれると思ったからだ。
元来から携帯依存症の傾向が強く見られる妹が、極めて紳士的に書かれてくるメールを無視しないのは分かってた。
なぜなら妹は同年代より大人の男の方が好みだからだ。
俺は兄貴なのでそれくらいのことは知っていた。

お礼を言った後、さも仕事の合間にメールを打ってるように装いながらメールを打った。
このメールは偶然だと思わせるように演出しながら、妹とメールを交換したのである。
しかしその時は事務的な内容の数通程度のメールのやり取りだけで終わらせた。
仕事で忙しいはずの人間がこまめにメールなんかやっているはずがないのだ。
メールの目的は1つだけ。
妹の携帯に俺のメアドの履歴を残すことだった。

そしてその日の夜、遅くない時間を見計らって、改めてお礼を言うためにメールを送った。

『今日は本当にありがとうございました。おかげで助かりました』

『お礼なんかいいですよ。お仕事中にご迷惑ではありませんでしたか?あのぉ、私、学生なんです』

『学生さん?もしかして大学生ですか?』

『違います。高校生です』

『そうなんですか。大人っぽいから大学生かと思いました。ちなみに君の年齢は?』

『16歳です。奇遇ですね。僕にも君と同い年の妹がいるんだよ』

『そうなんですか?』

この日から我々はメル友になって、お互いのことを『マキ』と『トモ』というハンドルネームで呼んだ。

妹とメールを始めて1週間くらいの間はなんてことのないごくありきたりの話をしていた。
メールの回数も少なくて、日に3~4通程度だった。
しかし1週間を過ぎた頃、妹が学校のことで相談してきたのを夜通しかけて話を聞いてやったのをきっかけに回数が多くなった。
妹は相手の顔が見えない安心感からだと思うが、俺に対して、家ではもちろん友達にも絶対に話さないようなことまで話すようになっていった。
学校のこと、友達のこと、家族のことなど、妹から送ってくるメールには等身大の16歳の女の子の姿が投影されていた。
俺はいつしか妹と一緒に問題の答えを探していた。
それと同時に自分のこの手で妹の心を裸にしてることに快感を感じるようになった。

妹に悟れないようにしながらメールのやり取りをするうちに携帯を手放せなくなっていた。
ベッドに横になりながらメールを打っていて携帯を手に持ったまま寝てるなんて日常茶飯事。
妹とメールを始めてから約1月半の間で総数は大小含めてすでに1500通を超えていた。
妹にメールを送ると学校での授業中以外にはすぐに返事がきた。
なんとなくそれが嬉しくて、俺は妹からの返事を心待ちにするようになっていた。
俺の部屋から10数センチの壁を隔てた向こうにはメールの相手である妹がいる。
エッチなメールは皆無だったが、それが目的ではない俺にはそんなことはどうでも良かった。
俺自身も妹とのメールにハマってしまっていた。
そしてその後も妹とのメールは続いた。

しばらくして妹はメールの端々に俺のことを、『他人の気がしない』と書いてくるようになった。
そしてその日、いつものように妹と深夜までメールで語り合って、今日はこれで終わりにしようかと思った時、妹から届いた最後のメールに一言だけ言葉が書いてあった。

『会いたいよ』

元ネットナンパ師の俺は過去に1度も自分の方から会いたいと言ったことがない。
必ず女に言わせてきた。
そして会いたいと言ってきても、1度目は仕事を盾にとってのらりくらりとかわす。
それは妹の場合も例外ではなく、この時もいつもと同じだった。

『ごめん。仕事で忙しく今は無理なんだ』

『いつなら大丈夫なんですか?』

『今の仕事は会社の社運がかかってる仕事で当分は時間が取れそうにないんだ』

『トモさん、すぐに会えないなら写メしませんか?電話で直接声が聞きたいです』

俺に会えないとわかってから、妹から次々と送られてくるメールの内容がエスカレートした。
俺にとってはどれ一つとっても自分の正体がばれてしまうものばかりだった。
俺としては妹の要求に答えるわけにはいかなった。
写メも電話も絶対に駄目だと思った。
その晩は例によって仕事を盾に、会いたいと言ってきた妹を辛うじてかわし切った。
俺のことを信用してあれだけ自分を曝け出してきた妹を結果的に騙してしまってる自分の行為に良心の呵責がなかったわけではないが、それでも会うわけにはいかなかった。

翌朝、その頃にはもう恒例になっていた毎朝届く妹からのモーニングコールを兼ねた長い1通のメールが届いた。
そして届いたメールにはメールの相手である俺に対しての気持ちが丁寧な言葉で書き綴られていた。

『おはようございます。昨日あれからずっと考えてました』

家では滅多に聞けない敬語で1つ1つ言葉を選んで書いたのだろう。
俺とのこれまでのメール内での様々な出来事の思い出からはじまって、お互いに悩みを打ち明けあって朝までメールを続けたこと。
その他もろもろの話。
偶然の間違いメールでの出会いから現在までの状況を、自分の気持ちを込めながら順を追って丁寧に書かれてあった。
メールの文面の端々には頻繁に俺のハンドルネームが登場していて、俺が妹とのメールで語った言葉が何度も書いてあって俺に対する想いが伝わってきた。
そのメールを読んでいて、(ちょっと俺を美化し過ぎてるんじゃ?)と感じたが素直に嬉しく思えた。
そしてメールには昨夜、俺が会うのを先に延ばしたことについても書いてあった。
そこには妹の本音が書かれていた。

『私が子供だから会えないんですか?』

妹は自分が子供だから大人の俺には物足りないから断られてしまってたと思い込み、誤解をしていた。
妹は本当の理由を知らないからそれは仕方ないことだった。
俺はその文面に、これだけは否定しなければと思ったので咄嗟にメールを送り返した。

『違う!君は子供なんかじゃない』

妹からすぐに返事が返ってきた。

『どうして会えないんですか?わけを教えてください。私が子供だからですか?』

『君が子供だから会えないんじゃない。今は仕事が忙しくて時間が取れないんだ』

こうして朝早くから妹との深刻な内容のメールのやり取りが何度も続いた。
俺は愕然とした。
まさか妹が俺のことをそこまで考えているとは思わなかった。
前夜の出来事の後、その場こそ見ていないが、妹が俺に自分の気持ちを伝えるために眠らずにメールを打っていたのは容易に想像ができた。
だがその時、俺は隣の部屋で高いびきをかきながら眠っていた。
俺は自己嫌悪した。
この段階になって自分のやってることの身勝手さに初めて気付いたのである。

この状況ではこの後どうするべきなのか、選択肢が2つしか残されてなかった。
1つは、今起きている揉め事のついでにメールを終わらせる。
もう1つは、この場をなんとかやり過ごして以降は無視して自然消滅させて終わらせる。
どちらにしろ妹とのメールを止める以外に行くべき方向がなかったのだ。
メールマジックとは言うけれど、これで妹に会ってしまったら、もうお灸の段階ではなく、完全に失恋となってしまうと思った。
しかもメールの相手が自分の兄貴だったなんて・・・。
俺としてはもっと軽い気持ちでメールをしたかったのに、本人たちが気付かぬ間にメールの深みにハマってしまっていた。

俺はこれ以上メールを続けたら妹が可哀想だと思った。
俺は会社への出勤時間が迫ってる状況で妹へお断りのメールを打ちはじめた。
妹とのことで会社にまで引きずるのが嫌だったので、会社へ行く前に済ませたいと思った。
そのメールを打ち終わるまでの間に少しだけメールの交換に隙間ができた。
その最中、これからいよいよ本題を切り出すための本文を打ってるところで俺の手が妹から届いたメールで止められてしまった。

『前からあなたのことが好きでした。だから会ってください』

届いたメールを見た時、俺の心が揺れ動いた。

もう終わろうとしてたのに。
顔も見てない相手に対して好きだなんてお前は言うのか?
俺を目の前にしてお前は同じことを言えるのか?

俺は物言わない携帯のメールに向かって独り言で妹に返事をしていた。
ともかくこれは1度妹と会わないことには終わらない、いや、終われないと思った。
そして俺は今まで書いていた本文をクリアしてから改めてメールを打ち直した。

『君の気持ちはよくわかったよ。君の都合さえ良ければ今度の日曜日にでも会おうか?』

勢いから妹と会う約束をしてしまった俺ではあったが、どうにか妹と会うのを回避ができないかギリギリ段階まで模索を続けていた。
できれば避けたかった。
一番望ましいのは妹が飽きて会うのを止めたいと言ってくるのが理想的だったが、そんな気配はまるでない。

その後も妹とのメールは続いてたので、何か揉めるきっかけがあれば考えたが、何の問題もなくて平穏なままで経過してしまった。
俺としては約束したからには自分の方からは断ることもできなくて、約束の日が近づくにつれて期待に胸を膨らませる妹とは対照的に気分が重くなっていった。

(俺と会った時に妹はどのような反応を示すのだろうか?)

<続く>

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