剃毛して全裸で街中を歩きたい・後編

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ドアを閉め、鍵をかけた。
自分が全裸で戸外にいるのだと強く意識した。
誰に見られているわけでもないのに、恥ずかしさが不安に取って代わり一気に襲いかかってきた。
正確には誰かに見られる不安がなくなったわけではないが、視姦されていると錯覚し始めてからは恥ずかしさが上回ったのだ。

(見ないで。身に着けているのは股縄ではなくて、Tフロントのショーツなの。恥ずかしいあそこを隠したいだけなの)

心の中で必死に叫んでいた。

(公園に着いたら必ず外します。本当の姿を全て曝け出し見て頂きますから、今は許してください。見ないで下さい)

膝がガクガク震えている。
衣服を纏わないことが、こんなにも頼りないこととは思わなかった。
でも、しかし凄い興奮を与えてくれるのだ。
ストリッパーやAV女優はとても気持ちいいことをしているのだろうと思った。
私も公園に着いたら、空想の舞台でストリップを演ずるのだと決めた。

だが一方で、もう部屋に戻ろうかとも考えた。
今晩はこれで十分なのではないか。
この続きは来週すればいい。
玄関の扉を開けてオナニーするだけでも十分ではないか。
そのような弱気の考えも頭をよぎる。
ただシュミレーションの通りに実行しないと、後悔するような気持ちが私の足を一歩進めた。
あの時は、ここで部屋に戻れば、一生露出が出来ないように思えたのだ。

ともかくドアの前でぐずぐずしてはいられないので、階段に向かいゆっくりと、腰が引けた姿勢で歩き始めた。
例のサイトにある写真の女性たちは、見られることで快感を感じているのだろうか。
それとも見られた瞬間に醒めてしまうのだろうか。
私がどちらなのかは分からない。
今現在も不明であるし、確かめる勇気もない。
架空の視姦だけでも十分なのが今の私だ。

喘ぎ声を抑えつつ歩く廊下がとても長く感ずる。
絶対に声を出すわけにはいかない。
足音さえも立てられない状況である。
架空の視姦に苛まれて背中を丸め、胸を隠すように手を当てて歩く。
こんなことではダメだと思う。
胸を張り、毅然と笑みを浮かべて颯爽と歩きたいのだが、これが精一杯である。

やっと階段に着いた。
普段は薄暗いと思っていた廊下だが、蛍光灯の明かりが眩し過ぎるように感じた。
鉄の扉を慎重に開き、階段室に入った。
少しホッとした。
公共の場所ではあるが、突然開くかもしれない部屋のドアもなく、マンションの住人が使う可能性は皆無だという妙な確信のある空間。
少し緊張感が緩み、いやらしく染みの広がった股間の包帯や、大きくなっている乳首を意識した。
こんなに興奮したことは今までなかった。
僅かであるが喘ぎ声を漏らしながら、一歩一歩階段を下りる。
片手を壁に添え、もう一つの手は胸を揉んでいる。

(気持ちいい・・・)

股間の刺激が堪らない。
病み付きになる理由が分かった。
たぶん露出を止められなくなると予感した。
そのくらいに気持ちいい。
私の背中を押してくれた悪魔に感謝した。
必ず気持ち良くしてくれさえすれば、私は私の中に住む悪魔の奴隷になろうと思った。

階段を下りきったエントランスに通じる扉の向こうではどうなるのだろうと、私の中で妖しい期待が育っていた。
私の中の悪魔はどこまで私を連れて行ってくれるのだろう。

『不安の大きさに快感は比例するのだよ。体に与えられる刺激はもっと大きくなるよ。部屋の中で股縄をしてもここまで感じない。もっと大きな不安を与えてあげようか?』

悪魔の言葉がはっきり聞こえた。
もっと大きな不安をお願いした時、1階のエントランスに通ずる扉があった。
扉のノブを手にした時、一瞬の迷いはあったものの静かに開けてみた。
不安よりも期待が勝っていたのだ。
再び緊張感が蘇る。
今度は屋内ではない。
全く知らない人と会うかもしれない。
今までとは比べ物にならないほど危険な、文字通り野外である。
エントランスといっても明るく、前の道路からは丸見えだ。
防犯上の措置だろうが、一歩踏み出せば煌々と照らす照明にこの体を晒すことになるのだから・・・。

体は熱く火照り、顔も真っ赤になっていたと思う。
膝は震えて呼吸も上手くできない。
心臓は早鐘を打つように響いている。
何度も深呼吸し、気持ちを落ち着かせた。
これまでは序の口で、今からが本番なのだと自分に言い聞かせた。
不安から生まれる恐怖と快感への期待が心の中で葛藤している。
不安が膨れ上がる。

目を瞑り、エントランスに出て扉を閉め、玄関の方に向き直る。
明るい光の下で、ジョギングシューズと包帯の股縄を締めた女が息を荒くし、上気した様子で立ちすくんでいる。
玄関脇の鏡に映る私だ。
包帯の股間の部分は色が変わっているのがわかる。
それほど明るいのだ。
普段の私が持ち合わせていない妖艶さがある。
私ではない私、つまり本来の私を発見した。
なんだか鏡の中の女を苛めてみたいと思い始めた。
悪魔が私に同化したのだろうか。
玄関のところで道路の様子を覗うが、予想通り誰もいない。

「さあ、出かけるのよ」

私は自分に声をかけた。
片手で胸を、片手で股間を隠すように道路に出て、例の公園に向かい歩き始めた。
下見の時は街灯の明かりだけを気にしていたが、街の中には他にも明かりがあることを改めて気づかされた。
自販機の明かりが意外に明るいのだ。
街灯の下で光のシャワーに裸身が浮かび上がる時、自販機の明かりに照らし出される時、遠くからでも私が衣服を身に着けていないことが分かってしまう。
そのような不安が私を襲う。
両手で上半身を抱き締め、目を閉じて通過した。
誰も現れないことだけを祈りながら。
悪魔に身も心も捧げた今の私が、神にお願い事をしても仕方ないのだが・・・。

家の前を通過するとライトが点灯する防犯グッズを備えた家庭が何軒かある。
そこを通過するたびに突然灯る防犯ライトに心臓が止まる思いをした。
体が一瞬固まる。
快感など感ずる余裕もない。
記憶すら飛んでいる。
緊張感と異常に敏感になった意識のみに支配され、楽しむことも記憶することも出来なかった。

やっと公園に着いた。
入り口の街灯の光が遮られ、暗さを保った一角に行き、包帯の股縄を外した。
予定では首に巻いて首輪にするつもりだったが、口に巻いた。
いやらしいジュースを吸った部分を口に当て、何周かさせてきつく結んだ。
特に味は感じなかったが、いやらしい匂いに恥ずかしくなった。
これが小説などに出てくる“淫臭”だと思った。
恥ずかしくて淫乱な自分を突きつけられて惨めな気持ちになった。
私が私に苛められている。
でも、惨めなのに股間が濡れてくる。
恥ずかしい液が漏れ出している。
私は観客のいないステージに立つストリッパーだ。
そう思うと腰が自然と動き始めている。

街灯の光が当たる位置に移動した。
手錠の箱を隠したベンチのところだ。
ベンチの背もたれに片足を乗せ、大きく開かれた股の中心部の溝を指で広げた。
空いている手は胸を揉んでいる。
オナニーをしたかったが我慢した。
指も入れず、最も敏感な突起には触れない。
腰は勝手にリズムをとって動いている。
思う存分視姦されている状況を楽しみ、晒し者にされてみたいと願う。
アナルも広げてみた。

箱の中の手錠は無事だった。
帰り道は淫らな汁を吸った包帯で口枷をし、手錠で前を隠せない状態になるのだ。
全裸以上の全裸・・・。
下腹部に縦に走る溝まで曝け出して歩くのだ。
乳首もあそこの突起も、これ以上ないほどに勃起している。
不安が甘美な快楽を期待させる。

その場にしゃがみ、道路からは隠れるベンチの陰で手錠を片方の手首にかける。
快感への期待がさらに大きくなる。
鍵は私の部屋の中だ。
もう片方も両手を後ろに回し、昼間に実験した要領で手首にかけた。
その時、コツ、コツ・・・と靴音が聞こえ、私は凍りついた。
急に不安と恐怖が増大した。
ここまで何もなく、いい気になって油断したのだろうか。

(ど、どうしてこんな時間に・・・誰?)

体を小さくする以外何も出来ず、震えているしかない今の私。
足音が次第に大きくなってくる。
会話が聞こえないところから1人に違いないと思った。
しかし1人であれ複数であれ、私にはなんの関係もない。
人がいること自体が恐怖なのだから。

(お願いですから気づかないで通り過ぎて・・・)

祈った。
祈るしかないのだ。
心臓は張り裂けんばかりに踊っている。
ここに近づく人に聞こえてしまうと思えた。
もう息を吸い込むことも出来ない。
やがて大きく見開いた目に小柄な人影が映る。
ほっそりとしたシルエット。
若い女性なのだろう。
公園の入り口にある街灯が彼女を照らし出した。
とりあえず乱暴されることだけは避けられるようだ。
しかし危機が去ったわけではない。
体の震えが止まらない。
足音が緩やかになり、聞こえなくなった。
公園の前で立ち止まった彼女はバッグの中をゴソゴソ探している。

(こんなところで何をしてるの?お願いだから早く行って)

声には出さず必死で頼む。
彼女の顔がこちらを向いた。

(ああ・・・駄目だ・・・)

そう思った次の瞬間、彼女の顔の前に小さな火が灯る。
タバコに火をつけたのだ。
よく分からないが、薄化粧で大人しそうな、私より若い女性で学生だと思えた。
しばらくして彼女は上を向き煙を吐き出している。
もう一度、小さな火が顔に近づく。
火が明るくなる。
彼女が歩む方向に煙を吐いている。
彼女がゆっくりと歩き出そうとした時、彼女の携帯の着メロが鳴り響いた。
携帯を取り出し、メールを読む彼女。
凍りついたままの私は息をするのも忘れて液晶画面の光を受る女性の顔を見つめていた。
やがて彼女はメールを打ちながら立ち去っていった。
靴音が次第に遠ざかり、聞こえなくなった。
静けさが戻るとホッとしたのか緊張の糸が切れた。

「あ、あぁ・・・嫌っ」

私は小さく呻いた。
失禁してしまったのだ。
出始めたオシッコが止まらない。
初めのチョロチョロとした流れが、そのうち恥ずかしい音を立てて流れ続ける。
足を汚さないように股を大きく開く。
永遠に続くように思われた。
さっき飲んだアイスティーが恨めしく思えた。
私は目を閉じて、この現実から目を背けた。
すると自分でも不可解なのだが、快感らしきものが生まれ、徐々に腰の辺りから広がっていくような気がした。
自らの変態行為に酔ってしまったのだろうか。
音はやがて静かになっていった。
最後の一滴が出る時、ブルッと震えが来た。
それで正気に戻った。
オシッコは終わり、股間の汚れが残る。
汚れはオシッコだけのものではない。
しかし、いずれにせよ処理はできない。
急に泣きたくなった。
そして自分が、もう後戻りできない変態になってしまったと思った。
こんなことで快感を覚えるなんて、本当の変態だ。
もう、恥ずかしさと惨めさでいっぱい・・・。

でも、もう部屋に戻らなければならない。
正確な時間は分からないが、タイムリミットは近づいているはずだ。
悩んだり迷っている暇はないのだ。
私は立ち上がり、部屋に戻ることにした。
バランスを崩しそうになりながらも、急いで部屋に戻った。
この辺りはあまり覚えていない。
ともかく半分ベソをかきながら、苦労してドアの鍵を開け、僅かに開けることができた隙間に足をこじ入れ、滑り込むように部屋に入った。

きっと誰とも会わなかった。
誰にも見られていない・・・はずだ。

ドアの施錠を終えると、私はそのまま放心状態で壁にもたれ、全裸散歩のシーンを思い出していた。
次第に体が熱くなってきた。
火照っている。
普通の変態ならば手錠を外してシャワーを浴びるのだが、私のしたことはそれ以上だった。
靴を脱ぎ、手錠の鍵を置いたテーブルの所へ行った。
鍵はテーブルの真ん中に置いてあり、簡単に取ることはできない。
その頃には何でもいいから刺激が欲しい状態になっていた。
私は口で鍵をテーブルの隅に寄せ、両手を開放する手間さえもどかしく、テーブルの角に股間を押し付けて快感を貪ってしまったのだ。
包帯の口枷も手錠もそのままで。

どこかで悪魔の声が聞こえたような気がした。

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