不登校気味だった後輩の女の子に告白した高校時代の話

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10月の文化祭で一個下の彼女に会った。

その時は名前すら知らずにいた。
文化祭が終わり、俺と彼女の共通の友達を通してメアドを交換。
友達には「お前のこと好きなんじゃねぇ?」とかって冷やかされたっけな。

その日の夜、彼女からメールが来てちょっと困ったことがあった。
その時は彼女がどんな子かも知らなくて、メール越しじゃ分からないことが沢山だった。
でもメールしてるうちに彼女の性格とかが少しずつ分かってきた。

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その当時、彼女はちょっと悪質なイジメを受けてたらしい。
学校にも行きたくない日が続いたらしく、相当辛かったらしい。
でも文化祭の辺りからは徐々に学校にも行くようになった。

『今日は学校行ったよー』
『今日、先輩と会いましたよね??』

そんなメールがほぼ毎日来た。
彼女が学校に行くようになって、俺も自分のことのように嬉しかった。

12月になって、彼女はほぼ毎日学校に来るようになった。

『今日先輩に見なかった・・・』
『学校じゃなかなか話せませんよねー・・・』

彼女が俺に会いたがってた。
俺も彼女に会いたかった。

だから思い切って言った、「明日会おうか??」ってね。

そしたら彼女も承諾してくれて、学校帰りに会うことになった。
その日、学校が終わり彼女からメールが来た。

『先輩、約束した場所で待ってます』

ちょっと緊張した。

俺が急いで約束の場所に行くと彼女がいた。
ちょんまげスタイルの髪型にマフラーを巻いて寒そうに身を丸めていた。

彼女は俺が来たのに気付くと・・・。

「あっ先輩っ、今日は本当にありがとうございます」

嬉しそうにそう言ってくれた。

そこで色々と彼女と話したことは今でも鮮明に覚えてる。
学校のこと、昔の恋話のこと、文化祭でのダンスのこと。
沢山話した。

でも時間が過ぎるのなんてあっという間で、お別れの時間になってしまった。

「今日は本当に凄く嬉しかったです。ありがとうございましたっ」

一言一言、丁寧に。
そして嬉しそうに話してくれた。
彼女と一緒にいることが出来て、俺自身も凄く嬉しかった。
俺は彼女のことを好きになっていった。
だから、また会いたい。
そう強く願ってやまなかった。

彼女とまた会う約束を取りつけて、その時告白しようと決意した。

学校が終わり、校門で彼女を待っていた。
彼女は学級委員長で会議があるらしいから今日も遅れるらしい。
その時間がとても長く感じた。

どう告白しようかとか何の話をしようかとか、ずっと考えてた。
そんな事を考えているうちに、いつの間にか彼女が後ろに立っていた。

「先輩、遅れてすみませんっ」

「大丈夫だよ、それより今日はありがとね。無理なお願い聞いてもらって」

「いえっ。先輩と一緒に帰れるなんて嬉しいです」

この言葉が嬉しくて、何度も何度も頭の中で繰り返した。

何もない田んぼ道を彼女と二人きりで歩いた。
彼女の家が近づくにつれ、心臓が破裂しそうなほどに緊張した。

「先輩っ、ここまででいいですよ。すぐ家そこなんで」

そう言って彼女が遠のいて行った。
告白なんて出来るもんじゃない、そう思った。
だけど体が、頭が無意識に動いて急いで彼女を呼び止めた。

「先輩どうしたんですか?」

「話があるんだ、聞いてくれる?」

「・・・はい」

彼女は何を言われるか分かっていたらしく静かになった。

俺はもう心臓がヤバかった。
心臓発作を起こすんじゃないか?ってくらい緊張しまっくてた。

「◯◯◯に会えて俺凄い嬉しいよ。いつもメールしてくれるしね。最初のうちはただの後輩みたいな目で見てたんだけど段々違くなっていった。この前会ってその気持ちが確信に変わってったんだ。◯◯◯のことが好き。こんな俺で良かったら付き合って下さい」

一瞬の静寂が流れ彼女が口を開いた。

「私も先輩のこと好きです。学校に行くのが辛かった時、励ましたりしてくれて嬉しくて。先輩に会いたいってそう思って学校にも行くようになりました。・・・私の方こそ、よろしくお願いしますね」

こうして彼女と付き合うことが出来た。
言葉に出来ないくらい嬉しくて彼女と顔を見合わせて笑った。

その後、クリスマスとか元旦には当然、彼女と一緒に行った。
元旦で何をお願いしたのか彼女に聞いた。

すると彼女は・・・。

「◯◯ちゃんとずっと仲良しでいられますようにって」

そう言って、ニッコリ笑った。

だけど幸せは長くは続かなかった。
彼女と付き合い始めて1ヶ月くらい経って悩んでいることがあった。

それは彼女の“ワガママ”だった。

そのワガママが、有り得ないほどのワガママでかなり困った。
彼女はそんなつもりじゃないのかも知れないけど普通じゃなかった。
その当時は俺は受験勉強でかなり忙しくなっていた時期だったし、そのワガママにイライラした。
徐々に連絡も取らなくなっていき、1月の下旬に別れを言い渡された。
俺も別れたいと思ってたし、大して悲しくはならなかった。

そして次の日、学校で友達と帰ってると彼女が一人で歩いていた。

「一緒に帰んなくていいの?」

「いいの、別れたから」

後ろから見た彼女はとても小さくて弱々しく見えた。
でも声を掛けられるわけもなく、俺は彼女の横を通り過ぎていった。

その日の夜。
布団に仰向けに寝転がって初めて泣いた。
ボロボロ涙がこぼれて止まらなかった。
失恋して辛かった。
彼女がまだ好きで好きでたまらなくて今頃になって涙が出た。

それから2週間が経ち、『3年生感謝の会』の話になった時だった。
文化祭でダンスを踊った後輩にまた踊ってくれないか?って頼まれた。
俺を含む、3年生12人が再び一致団結しダンスの練習に励んだ。
そのダンスでは後輩の子達と一緒に踊ることになって、一緒に練習することになった。

放課後、教室で後輩を待っていると、ぞろぞろと後輩達が来た。
その時、驚いたことがあった。
思わず目を疑った。

別れた彼女がその場にいたのだ。

かなり気まずかった。
俺の友達、後輩の子達もその空気を察していた様子だった。
一気にやる気が無くなり、俺は教室から出ていってた。
友達が追いかけてきて、説得されて教室には戻ったが依然として気まずかった。

その当時、友達には「あの時のお前、超気まずそうだったぞ。てか怖かった」って言われた。

ダンスの練習が終わり、学校から帰り携帯を見るとメールが来ていた。
彼女からのメールだった。

『おひさぁ、風邪とか引いてませんか??』というメールだった。

学校では気まずかったものも、久しぶりのメールで俺もちょっと嬉しかった。
そこから、また彼女とメールをし始めた。
また毎日メールをした。

でも俺には“好き”という気持ちはもう心の中に全くなかった。

またただの先輩と後輩の関係に戻った。
俺はそれで良かった。

彼女の愚痴も聞くし、彼女と色々な話を出来るだけで良かった。
思えば元旦の神社で「◯◯ちゃんと、ずっと仲良しでいれますようにって」・・・。
そう彼女がお祈りしたお願いが叶ったのかもしれない。

卒業式も近づいてきて、彼女はインフルエンザにかかってしまった。

『インフルエンザにかかったよー。もう学校で先輩に会えない・・・』

そうメールで言ってきた。
うちの中学校はインフルエンザにかかると軽い症状でも一週間は学校には来れないのだ。

「え?マジで?シャレになんないよ」

思わず口に出してしまった。
卒業の日を迎えた俺は神妙な気持ちになっていた。

(本当に卒業するんだな)

そんな感じで半信半疑だった。
彼女はインフルエンザで学校には来れず、結局会えなかった。

夜に彼女からメールが来た。

『先輩に会いたかったよぉ』

俺ももう一度会いたかった。
三月の下旬に引っ越すことが前から決まってたので彼女とは会えなくなる。
そんなのは嫌だし、また彼女と色々な話をしたかった。

だから『会おうか?』そう言った。

彼女は、『はいっ!!会いましょうっ』と言ってくれた。

日曜の午後、彼女の家の近くの小学校で待ち合わせをした。
俺が小学校に来ると彼女いた。
マフラーをして校門で待っていた。

「先輩!お久しぶりですね!」

久しぶりに彼女の声が聞けて嬉しかった。
けど、彼女にはもうすぐ会えなくなることを考えると辛かった。
俺はこの時、初めて“時が止まれば”と本気で思った。

昇降口に座るとしばらく黙りこんだままで時が流れた。

「先輩・・・本当に行っちゃうんですか・・・?」

「・・・うん、まぁ・・・」

「正直、行きたくないでしょ?」

「そりゃそうだよ、15年間ここで生まれ育ってきたんだしさ」

「都会より田舎の方がいいですよね」

「だね。俺、田んぼを愛してやまない人間だから(笑)」

「アハハハハッ(笑)」

「なんか別れたのにこうしてまた会えるなんて不思議ですね」

「うん・・・不思議だねぇ」

「私、付き合ってて先輩に悪い事したって思ってるんです」

「どうしたのよ?」

「ワガママばっかり言って、◯◯ちゃん困らせてたし・・・」

「・・・」

「だから迷惑かけるくらいなら自分から別れようって・・・」

「・・・」

「本当ごめんね」

「でも、ほら。またこうして会えてるわけだしいいよ」

「先輩は優しいですよねー」

「そうかなぁ?」

「文化祭で先輩のこと好きになったんですよ、前々から気になってはいたんだけど。その時は先輩のことよく知らなかったから、ちょっと恐かった(笑)でもメールしてみたら全然優しくてびっくりしました(笑)」

「メールでもそんなこと言ってたよね?アハハハ(笑)」

「はい、言ってました(笑)」

「そうえばさ、元旦に神社に行ってお祈りしたじゃん?」

「しましたねー」

「何てお祈りした?」

「・・・先輩とずっと仲良しでいられるように。って・・・」

「うんうん。その願いが叶ったから今こうして会えてるんじゃないかな」

「・・・」

「どうしたの?」

彼女は泣いていた。

「えっ、どうした!?」

「・・・だって願いが叶ったって先輩ともう会えないじゃないですか」

「・・・」

「・・・ずっといて欲しいです。たまには会って話したいし・・・。いつも相談にのってくれて・・・そんな大切な人が行っちゃうなんて嫌です。なんで引っ越しちゃうんですか・・・?」

「・・・」

「・・・」

「会えないわけじゃないよ」

「えっ・・・?」

「だって夏休みとかに帰ってくるしさ。また会えるよ・・・」

「本当に?」

「俺はお前に嘘ついた事ないよ」

「・・・」

「もう行くわ。今日会えて良かった」

「先輩・・・」

「どうした?」

「あっちに行ってもメールしてもいいですか?電話してもいいですか?ずっとずっと頼りにしてます」

「・・・ありがと」

「それじゃ、元気で・・・」

「お前もな、学校にはちゃんと行けよー(笑)」

「行きますよっ!!(笑)」

「じゃあなー」

「ばいばーい」

こうして彼女と別れました。

あれから一年半立つけど、今でも連絡取り合ってます。

彼女と出逢えたこと。
それは僕の人生でかけがえのない時間になるでしょう。

皆さんにも素敵な出逢いがある事を願ってます。
おやすみなさい。

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