女友達に彼氏役を頼まれて・・・前編

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俺は36歳の会社役員。
今年1月に7歳離れた妻と結婚して、現在妻の身体には新たな生命が宿っている。
至って普通の夫婦だ。

しかし3月11日に起こった東日本大震災の影響で心がナーバスになっていた妻が10日間くらい実家に帰りたいと言うので、5日前に里帰りした。
俺としては、これからお腹の子供も早く成長するだろうし、なかなかすぐに行ける所ではないし(妻の実家は九州の温泉街)、何よりも義父母や親戚が凄く心配していたので帰郷することを許可したのだ。
俺もついて行きたかったのだが、仕事の関係もあって断念した。

そろそろ本題に入る。
3日前の午前中に1通のメールが入る。
妻だろうと思って携帯を開くと女友達からのメールであった。

『久しぶり!ちょっと◯◯(俺の苗字)さんにお願いがあって。昼休みに電話していい?』という内容のメールだった。

俺は少し驚いて、しばらく考えてから、『いいよー』と返信した。
何せその女友達から連絡が来たのは5、6年ぶりだし、いや、向こうから連絡して来たのは初めてじゃないかと思ったので躊躇してしまったのだ。

その女友達はA美ちゃん。
年齢は俺より2つ年下の独身。
女友達と言っているが、大して仲が良いというわけではない。
俺は大学受験を2回失敗し、専門学校に通ったのだが、その時のクラスメイトがA美ちゃん。
A美ちゃんにはその他に女友達が4人いて、割かし俺の友人達共とも気が合ったせいか、学校の行事や飲みに行く時は必ずそのA美ちゃん含む女子グループを連れて遊んでいた。
しかし男女共にくっ付いたことはなかったのだが・・・。

で、そのA美ちゃんというのは堅物と言うのか、とても真面目で成績はいつもトップであり、俺らと飲んでいる時でも一切下ネタとかには参加しない。
言ってみれば、「私は安っぽい女ではないぞ」と振舞っているような感じでもあった。
普通に話をしている分には問題はなく、ふてぶてしさとかはなかった。
顔は特に芸能人の誰かに似ているというのはないが、普通のOLっぽい色白で大人びた顔付きだった。

で、スタイルはというと・・・。
これが結構グラマーで、身長は155センチくらいと小柄なのだが、目立つのは胸とお尻の大きさであった。
しかし、夏場なんかでも胸やお尻を意識した薄着なんかを着ているわけではなく、下はいつもジーパンだった。
その当時から俺は、(こいつ、本当に損しているよなー。もしかしてレズビアン?)っていう感じで見ていたのだ。

多少長く書いてしまったが、女の可愛らしさというものがあまりなく、俺も男友達もA美ちゃんに対して恋愛感情とかそういうものは皆無であった。
A美ちゃん自身も男と付き合っているという感じではなかった。

学校を卒業した後でも、その男女グループとは年1回は飲み行くという関係が続いていたが、A美ちゃんは相変わらずであり、派遣会社を転々として男っ気のない生活をずっとしていたらしい。
そして時が経てばグループ内で結婚だの転職だのと各自忙しくなってきて、徐々に遊ぶことも少なくなり、年賀状での挨拶で情報を知るような間柄になっていた。

そのような長い年月が経ってからのこのメールだ。
別に胸が高鳴ることもなく、(お願いって何だろなー?金の相談なら無理だな)くらいにしか思っていなかった。
そして昼休みにA美ちゃんから連絡が来たのだ。

A美「お久しぶりー!元気だった?忙しいのにごめんなさい。今、大丈夫?」

俺「おおー!久しぶり!大丈夫だよ。どしたー?」

久しぶりに聞いたA美ちゃんの声は昔と違ってだいぶ垢抜けたように明るくなっていた。
少しの間は近況報告だとかを話をしていた。
そしてメールの本題に入る。

俺「で、お願いって何よ?」

A美「うん。実はね・・・。私の恋人になって欲しいの」

俺「!?はぁ~?お前、何言ってるんだ?さっきも言っただろ?俺は結婚したばっかだぜ」

A美「ごめんなさい。違うの!(笑)そういう意味じゃなくて!」

俺「ったく・・・。どういう意味だよ。A美ちゃんも冗談が言えるようになったか?」

最初はあまりにも常識外れなことを言ってきたので多少言葉使いが荒くなったが、話を聞いてみるとつまりこうだ。
1ヶ月くらい前にA美ちゃんの職場での飲み会があって、その場には会社のお得意様の何人かも招待していたらしい。
その中に42歳の独身の男がいて、そいつがA美ちゃんをお気に召したようで、一緒に参加していたA美ちゃんの先輩の女がその男と同級生であったということで、その先輩を通じて飲み会を企画したらしいのである。
しかしA美ちゃんはその男に対して良い印象を持ってはなく、飲み会でかなりしつこくアタックされたらしく、自分には彼氏がいるということにして諦めさせたいというわけである。
何とも下らない話である。

俺「嫌だったら行かなければ良いだけの話じゃないの?女を頼って企画させるその男も情けない奴だな」

A美「そうなんだけど、会社同士の付き合いもあるし、先輩に彼氏がいることを話しても信用してくれなくて、『連れて来なさい』的なことを言われたから・・・」

俺「それで俺にA美ちゃんの彼氏役になって飲み会に参加しろと?」

A美「お願い!◯◯さんは年上で安心だし、お礼に何かご馳走するから!他にも大勢いるから堅苦しさはないし、奥さんには私から説明してもいいから」

俺「あっ、言ってなかったけど、今嫁は里帰りしていていないよ」

A美「それじゃあ好都合じゃない!人助けだと思ってお願いします!」

とまぁ、こんな会話のやり取りだった。
相変わらず高飛車な女だと思ったが、本当に困っている感じは痛いほど伝わったし、どうせ今は俺1人で暇しているし、こんなにお願いされたんじゃと思い、考えに考えてOKした。
しかし、その飲み会は翌日土曜日の午後6時から。
急過ぎる話だから駄目だと言ったが、当の本人は散々悩んだ挙句、こんなに時間が掛かってしまったと言っていた。

そんなわけでOKはしたが、ある程度の打ち合わせと情報は必要なのでそれを聞いてみた。
それは以下の通り。

・明日はスーツで来て欲しい。
・本当の彼氏のように振舞って欲しい。
・しかしエッチなことはしない。
・全員の前では紳士的に接して欲しい。
・下ネタは絶対にNG!

それを聞いて俺は、「やっぱり俺、辞めるわ。そういう男を早く作んな」と言ったら、あまりにも都合の良すぎるお願いだと反省したのか、ある程度は俺に任せるということで一致した。

そして当日が来た。
飲み会の会場は比較的会社から近い所だったので余裕であったが、出掛けようとした時に得意先から電話があり、話をしていたら30分くらい経過してしまい、焦った俺は電話を切った後ですぐSちゃんに『30分くらい遅れる。ごめん』とメールを打って急いで会社を出た。
タクシーを捕まえて居酒屋に到着。
到着してA美ちゃんに連絡したら出なかったので、そのまま係りの人に案内してもらい、部屋に通される。
そして俺は「初めまして」と、15、6人集まっている人達に挨拶をし、A美ちゃんを探した。
すぐに奥の方からA美ちゃんが、「◯◯、こっち!こっち!」と手を挙げて俺を呼んだ。
A美ちゃんは俺の名前を呼び捨てに呼んだ。

(おー、なるほど。もう彼氏と彼女役が始まっているということか)

俺「おう、待たせたな、A美」

俺もA美ちゃんの名前を呼び捨てにして、今日は徹底的に彼氏役をこなそうと思い、男らしく強引的な感じで演出しようとした。

(案外、今日は楽しめるかもな)

なんて思いながら愛想笑いを振り撒き、部屋に中に入った。

それにしても5、6年ぶりに会ったA美。
俺は少し驚いた。
服装は黒いラインが入った白のスーツで、胸元が少し見えて色っぽい。
髪は相変わらずの黒毛だったが、ずっとセミロングだった髪が多少長くなっていた。
白のカチューシャを付けてて可愛らしい感じもする。
顔は薄い化粧をしていて、全体的に今までに見たことがない色っぽいA美がそこにいた。

A美「◯◯、おっそーい!もう!」

A美が俺をドンと叩いてきた。
たった30分の間でA美も周りの人達もかなり出来上がっていた。
俺はA美に飲み物を頼んでとお願いし、集まっている人達に紹介された。
A美の彼氏ということで、かなり俺は注目されてしまい、物珍しいような目で見ていた奴もいた。

(こいつは相変わらずお堅い女で通っているんだな)

と、すぐに分かってしまうのが何とも可笑しくてしょうがなかった。
そしてA美はトントンと膝を叩いて俺の耳元に口を寄せて、「前に座っている男が例の人、その隣が私の先輩ね」と囁いてきた。
その時、A美の囁き声と明らかに俺の耳に彼女の唇が少し触れて、一瞬ゾクッとしたが冷静さだけは保てていた。
そして目の前にいるその男と先輩とやらに改めて挨拶をした。

男というのが見た目は小太りでちゃんとしたスーツを着ていた。
見た目はまあ悪くないが、どこかしら内気な感じのつまらない男だった。
先輩はというと、既婚者で話は面白く、感じは悪くない。
容姿とかは特徴のない女だったからこれ以上書くことがないのだが、2人は明らかにつるんでいて俺達の関係とかの話を突っ込んできていた。
いつの間にか、先輩が先陣切って話をし、俺達がその話を聞き答えをし、その男を弄るという構図になっていた。
実際にA美の彼氏が来たということでそのような流れになっていたのだ。

俺は話を聞きながら周りに合わせようと急ピッチで酒を飲んでいたが、あっという間に他の連中は男女同士がくっ付き合って楽しそうに話をしていた。
まるで合コンのようであった。
いや、最初から合コン前提の催しのようであった。
こっちはこっちで、俺達に対して下らない話を先輩がぶつけ、男がそれに反応して先輩とA美はゲラゲラと笑っている。
だんだん俺は腹が立ってきていた。
こんな安っぽい所にこの俺を参加させるとは。
俺はA美の耳を引っ張った。

「イテテ・・・」

そして思いっきりA美の耳に口を付けながら、「冗談じゃない。俺、もう帰るぞ」と多少大声でA美に言った。
A美は、「お願い、もう少しいて。お願い」と懇願するだけだった。
今さら、揉めたくはないのだろう。

そんなこんなで時間が経ち、だいぶ酔いも回っていた頃に先輩とやらが、「貴方達ってどんなキスとかするの?教えてよ?」と言ってきたのだ。
俺もA美も少し驚いてしまっていたが、俺は「普通ですよ。時には優しく、時には激しく。なっ?」とA美に振ると、「そうそう。先輩なんかと同じですよー」と俺達は笑いながら答えたのだ。
そして次に出た先輩の言葉。

「じゃあ、今、ここでしてみてよ」

俺達は完全に固まった。
すかさずA美を見たら下を向いてモジモジしていた。
恥ずかしいのか、やばいと思っているのかは判らなかったが・・・。

「やめて下さいよ、もう。A美も困っているじゃないですかー」

早く話題を逸らそうと思っていたが、そこで先輩の隣の男が、「いや、僕も見てみたいなー。恋人同士なんだからキス出来ない理由なんてないですもんねー」とニヤニヤしながら言ってきたのだ。
俺はこの男の何とも言えない態度に腹が立ち、ぷっつり何かの糸が切れてしまった。
次の瞬間、俺はA美の頭を少し強引に寄せてA美の唇を奪ったのだ。

「っん・・・。ぅ、ぅ~ん・・・」

A美は突然の出来事に身体を硬くしながら少し震えていた。
そして微かにA美の唇も震えていたようだった。

(まさかこいつ、本当にキスの経験もないのか?)

そう思いながらそろそろ俺が離そうと思った時には、少しずつA美の身体から力が抜けてきて、自分の身体を俺に預けるような感じになっていた。
俺はそっと口を離し、「もう少しエロく・・・」と囁いて、再びA美の唇に俺の唇を重ねた。
そうして俺はA美の唇に自分の舌をゆっくりなぞるように這わせ、口の中に舌を差し込もうとするとA美は微かに震える舌を出してきたので、優しくA美の舌を俺の舌と絡め合わせた。
自然に俺は片方の手をA美の腿に這わせていたら、A美は俺の手を握ってきた。
その手は温かくて少し湿っていて、もっとキスを求めているようにも感じた。

次第にA美の息遣いが激しくなってきて、「んふ~。あっ、はぁ~、はぁ~・・・」といやらしい声が漏れ始めていた。
感じてきているようだ。
A美の体温、声、息遣いの生温かさに俺は少し興奮していたが、妙な落ち着きもあった。
A美の唇と身体を優しく離し、「こんな感じでいいですか?」と前の2人を少し睨みながら言うと、「本当にすると思っていなかったぁー。ごめんなさいね」と先輩が謝ってきたのだ。

男はというと・・・。
目の前で好きな女が男とキスをしている光景をまざまざと見せられてかなりショックを受けたらしく、酒を飲みながら黙りこくってしまった。
おそらく俺を本当の彼氏と思ってなく、完全に納得するために最後の砦と思い、俺達を煽ってみたのだろう。
俺がA美に耳元で、「ごめんな」と囁くと、「ううん。大丈夫・・・」とA美は俺の目を見ると顔を赤らめながら下を向いてしまった。

しばらく我々は普通に話をしながら酒を飲んでいたが、A美の様子が少しずつ変わってきたのだ。
A美も俺も酒は昔から強いのだが、A美はもうすでにフラフラ状態。

「大丈夫か?」と問いかけたら、A美はトロンとした目で俺を見つめて、「うん。大丈夫」とだけ答えて俺の手を握って寄り添ってきたのだ。

その時からだろうか・・・。

俺は理性を失ってしまうんじゃないだろうか?
A美と求め合ってしまうのか、求め合わないのか?

そんな事が頭の中に渦巻き始めていた。

<続く>

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