スカート捲り男子を懲らしめた男女対抗棒倒し

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パーンと鉄砲の音が響いて、あたしは真っ先に駆け出した。
運動会の棒倒し。
目指すのは竜平が支えている棒だ。

棒は全部で三本あって、それぞれの棒を男の子たちが三段のピラミッドを作って支えている。
竜平は二段目の子の肩に乗って、一番上で棒を支えている。
あたしは一番乗りで竜平の棒に到着し、男の子たちを掻き分けながらピラミッドを登っていった。
男の子たちのピラミッドはとてもしっかりしていて、あたしが飛び乗ってもびくともしない。
あたしは二番目の子の背中に飛び乗って、さらに上によじ登った。
大きく開かれた竜平の足が見える。
こういうの仁王立ちって言うのかな、しっかりと棒を掴んで、下を見下ろしている。
竜平と目が合って、あたしはにやりとした。
ようし、みてろよぉ。

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六年生の最後の運動会。
最後の団体種目は、みんなで考えることになった。
あたしは、男女対抗棒倒しがしたい、と提案した。

「棒倒し?男の子だけならいいけど、女の子にはちょっと危険かもな」

先生は目を丸くしてそう言った。

「そんなの男女差別ですぅ。六年生は男の子より女の子のほうが体格もいいし、大丈夫です」

あたしはそう言った。
他の女の子もそうだそうだと賛成してくれた。
男女対抗と聞いて、男子も結構乗ってきて、結局あたしの提案が通った。

でも、ほんとは、これ、他の女の子たちと示し合わせた提案だったんだ。
目的は、もちろん竜平を懲らしめること。
学年一の暴れん坊の竜平は、「俺はスカート捲り王だ」なんて言って、女の子たちのスカートを捲っては、「ブスの汚ねぇパンツ見ちゃったぜ」なんて言ってる。
女の子の敵だ。
そこであたしたちは考えた。
六年生最後の運動会で、今までのぶんぜーんぶ仕返しをしようと。

あたしは男の子たちを踏みつけて力一杯よじ登った。
竜平の腰までようやく手が届く。
竜平はあたしの頭を蹴って、下へ落とそうとする。
ひどーい。
でも、あたしは負けない。
両手で竜平の白い体操服のズボンを掴んだ。
今だぁ。

「わわっ、そんなとこ、掴むなー」

竜平が慌てて叫んだ。

「もう遅いよー」

あたしは意味ありげにそう叫び返した。
だって、竜平の両手は棒をしっかり掴んでるんだから。
抵抗するにはもう遅いよね。
あたしは力いっぱい竜平のズボンをパンツごと引きずり下ろした。
勢い余って、ズボンとパンツは足首のところまで下げられ、竜平は下半身丸出しになった。

見ーちゃった。
竜平のおちんちん。

思ったよりも小さかったけど、小学生の男の子のおちんちんって、こんなもんなのかな。
大きさは給食のソーセージくらいか。
たまたまは、今日のお弁当にママが作ってくれたおいなりさんみたいだった。
もちろんツルツルで、いつも生意気なこと言ってる割には、全然子供のおちんちんだ。

「わあっ。なにすんだよ。わぁ」

竜平は真っ赤になって叫んだ。
観客から大きな笑い声が起こった。

「わあ、丸見えだよ」とか「脱がされちゃったよ」とか、そんな声があちこちから聞こえる。

「竜平くんのおちんちん、ばっちし見ーちゃった。可愛いんだ」

「直せよぉ。直せぇー。直してよぉー」

いつもの勢いはなく、最後はお願い口調。
それでも棒から手を離せないのが、竜平っていう子なんだな。

「だめだめ。勝負だもん。みんな見てるよぉ」

あたしは竜平のおちんちんの目の前までよじ登ってきて、そう言った。

「直してよぉ、お願いだよぉ」

そう叫び続ける竜平の顔の高さまでよじ登って、あたしは竜平に耳打ちした。

「ほうら、下見てごらん。次々の女の子たちが竜平のおちんちん目指してよじ登ってくるよぉ。下から見上げると、どんな風に見えるんだろうね。みんな他の棒に行かないで、こっちばっかり来るよねぇ」

竜平は目をぱちっと開いて、それから顔全体が真っ赤っ赤になった。
これは女の子たちからの仕返しだ、って気づいたのかな。

「てめえら、わざとやったな」

竜平はそう凄んだけど、おちんちん丸出しじゃあ、全然凄みがない。

「それに、今日は一体どれくらいの人が見てるのかなぁ。何百人かなぁ」

竜平、下向いちゃった。
でも、下から上ってくる女の子たちと目が合って、慌ててぷいっと横を向いて、つぶやいた。

「頼むよぉ。ズボン直してよぉ」

そんな簡単に許してあげないってば。

「何しろ小学生最後の運動会だからね。みんなビデオ撮ってるしねぇ」

「お願い。謝るからさぁ。直して」

あたしは無視して続ける。

「それに最後の運動会って、学校でもビデオ撮影して、タイムカプセルに入れるんだよねぇ。下からビデオを撮影している五年生の女の子には、『竜平くんのおちんちんばっちし撮ってね』って言ってあるんだよぉ」

竜平は下を向いた。
撮影係の女の子に気がついたようだ。

「年下の女の子におちんちん撮影されるのって恥ずかしいねぇ。しかもそれが記念に残るんだよ。カプセル掘り出す日が楽しみねぇ」

竜平涙目になって、とうとう手を棒から離して股間を押さえた。

「もーらったぁ!」

竜平が慌ててズボンを穿いているうちに、あたしは棒の上までよじ登った。
ゆっくりと棒が倒れていくのがわかった。
あたしたちの完全勝利だった。

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