美人だからこその苦労

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自分で言うのもどうかと思うけど、そういうのが許されるのがインターネットだと思っているので言わせてもらおうと思います。

わたしは美人だ。
小さな頃から、美人だ、可愛い、綺麗だと言われ続けてきました。
田舎だったので中高の運動会文化祭には他の学校から男も女も私を見に来ました。
高校生の頃は地元紙のレポーターのようなこともしました。
背も167cmまで伸び、ミルクタンクもでかくなりました。

高校卒業と同時に、その小さな街のキャンペーンガールにも推されたけど、大学へ進学するので辞退しました。
都会へ出ると、大きくはないけど、一応きちんとした芸能事務所にスカウトされて、一瞬本気でそういう仕事をすることを考えたりもしたんですが、私くらいのレベルの女の子がうじゃうじゃくすぶっているのを知ったので、辞退しました。
大学は私立のDランクだったし、就職氷河期だったので就活にはかなり身構えていたけれど、あっさりと決まりました。
一応“大”のつく企業の事務職。
これが顔のおかげだってことはわかってますよ。

でも2年で辞めた。

なぜかって、人間関係がこじれたから。
と、ここまで話すと大概「女の嫉妬でしょう」と勝手に納得している人がいるけど、違うんだなぁ。

男なんです、問題は。

勝手に惚れる→振られる→嫌がらせ。

これは学生時代からあったことなので、そういうことが起きないように警戒していたんですが、やはり、という感じでした。
“俺の好意を踏みにじりやがって”みたいに逆恨みする男性は本当に多かった。
わたしの三十余年の人生では。

相手が傷つかないよう20枚くらいのオブラートに包んで丁重にお断り申し上げても、次の日から、ねちっこい嫌がらせが始まるわけです。
想像がつくと思うけれど、それが上司の場合は最悪だ。

“色目を使う女”のような噂を流すのも男だった。

そういうことが増えすぎたので、普通程度にすら愛想を良くするのもやめて、能面のような顔で仕事をするようにしたが、そうしたらしたで「美人だから高飛車」みたいに言われてしまう。
女の上司や同僚は、最初は警戒して近づいてくれないけど、打ち解ければそんな理不尽な仕打ちをする人は居なかった。
ときどき尋常ならぬ敵対心を燃やしてくる女もいるけど、グループ内で嫌われるのはわたしではなくそっちなので問題ない。

惚れた惚れない関係なく、最初から嫌がらせしてくる男も多い。

そういう人はなぜか大抵わたしへの当てつけか何かのように、これみよがしに、ふつう顔だけど愛想の良い女性社員を猫可愛がりしている。
その女性社員から、私の居ない時はその男が普通だということ聞いて、なるほど新種の嫌がらせか、と気がついた。
そんなことが2度ほどあって、とうとう、仕事を一切させてもらえないという嫌がらせに耐えかねて辞めた。

実家に帰って貯金を渡し、1ヶ月ほどメソメソしていたけれど、地元の結構年上の独身の人たちが群がってくるので早々と都会へ戻りました。

大企業の事務職を2年で辞めた技術も何もない女なんて再就職先ないでしょう、と思うけれど、顔がそこそこ良ければ一応就職先は(受付・秘書・事務職)あるわけです。

そこで次は5000人規模のメーカーの事務に再就職しました。
しかしそこでも同じようなことが起きて、なぜか言い寄ってきた上司(半ストーカー)の妻から斜め上の訴えを起こされかけるという珍事にまで発展し、わたしは街中にあるカッコいいビル内の本社から、埋立地にある工場に付設されたプレハブみたいな事務所に配置転換されました。

その事務所には15人しか従業員がおらず、女はわたしと、55歳独身の我が道を行くちょっとユニークな上司、バリバリの派遣さんだけでした。
そんななので、昼食時には男はそわそわ群がって社食を食べに行くのに、女はひとりずつ持参した弁当や菓子パンを黙々と貪る、という稀な現象が起きていました。
その事務所では、腫れ物のような扱いを受けていて、男は誰も近寄ってこないので楽っちゃあ楽でした。
その会社では28歳まで働きました。

ところが、中途採用で入ってきた近しい部署の男に惚れられてしまったので、丁重にお断りすると、仕事で必要な書類を回してくれなくなって、上司から“お前のせいだろ”オーラが漂い始めたので居づらくなって辞めました。

学生生活、サークル、アルバイト、30歳までの社会人生活に登場した男たちは、『自分の好意を踏みにじった独女』と『自分の手に入らない独女』が死ぬほど嫌いなんだ、ということをやっと悟ったので(馬鹿なので飲み込みが遅い)、次はそういうことが絶対に起こりえない職場にしようと思いました。
更にこの歳になると、美人というだけでなく、結婚しないの?という圧力がかかってきて二重に辛くなりました。

そこで、わたしは29歳にして!はじめて!水商売の世界に身を置いてみることにしました。

大変なことも色々とありましたが、本当に楽しい1年間でした。
男の方も「金を払っているんだ」という前提があるので、会社に居た頃のような、わかりにくく面倒くさい好意ではなく、割りと堂々とした好意を受け取ることができました。
結婚していなくても良いし、美人ならなお良い、乳がでかいならもっと良い、という世界です。
ときどきヘンテコなお客さんもいますが、わかりやすいエロオヤジさんか、紳士っぽいおじさんが多いのでとてもやりやすい仕事でした。
貯金もかなり増えました。

会社にいたころとは違い、完全に武装した、変装した、本名とは違う自分として仕事をするので、なりきれるというか、女優のような気分なので男に媚びることも尻を撫でられることも簡単でした。

30歳になって、わたしはかねてからお付き合いしていた彼と結婚しました。
わたしより更に美しい姉が26歳で結婚した後、しきりに「結婚すると楽だよー。誰かの女になるって楽よ」と言っていましたが、その意味をようやく理解しました。
確かに結婚してからは、就職しにくかったですが、会社に入ってからが圧倒的に楽です。
綺麗な奥さん、というような扱いで、言い寄ってくる男もほとんど居なくなりました。
結婚指輪をしているだけでこんなに楽だなんて。

ときどきそのことを知らない営業さんなんかに口説かれますが、「結婚してます」と言うと、「やっぱりね」「だよね」と言って、スっと引いてくれます。

まあ何が言いたいかと言うと、美人というだけで楽勝全勝、というようなことを言う人が多い(特に男)ですが、そうではありませんよ、と。
美人だからこその苦労も多い、と言いたかったんです。
それと『美人の苦労=女の嫉妬』という“ステレオタイプ”の解釈もやめてください。
わたしの人生においては、男からの嫌がらせの方が圧倒的に多かったですし。

こういう話をすると、男からの好意は無条件に喜べるわけではない、という前提を共有している点で、女の方から多くの賛同を得られます。
男は苦虫を噛み潰したような顔になるので、リアルではあまり話せません。

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