2人が事故を起こした日に・後編

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数日後、雫が自宅にやってきた。

雫「腹減った、なんかくれ」

俺「おまww」

いつもの流れである。

俺「この前は助かったわ。ありがとう」

雫「お礼言うの、私だし。あの自転車、自然にパンクしたんじゃないでしょ?」

俺「・・・」

雫「分かってたんだ。ただ、俺さんの優しさが嬉しくってさ、少し甘えちゃったよ」

俺「学校、どうなんだ?」

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雫のツンデレっぷりに焦った俺、やっちまった。
また辛い事をえぐるような事を言ってしまった。

雫「いじめられてるよ。どうしてかな、私ってみんなと違うのかな・・・?どうしてかな・・・」

雫の目には涙があった。

雫の話をまとめるとこんな感じだった。

雫の家庭は母子家庭で、結構切り詰めて暮らしていたそうだ。
しかし学校は人並みに通えていた。
ある時、担任教師が生徒の名前と保護者の名前が載った名簿を教卓の上に置きっぱなしにしてしまったらしい。
それを見た男子生徒が・・・とまぁここからは事実無根の噂が広がり、イジメがエスカレートしていったわけだ。

驚くことに雫は、『母親に心配をかけたくない』との理由でこの事を秘密にしていた。
本当にドラマの設定のようだった。

雫「お母さんは私のために一生懸命働いている、だから私も頑張らなきゃいけない」

生意気だったガキは、健気な少女へと爆誕を遂げた。

俺「辛い時はここに来い。何でも聞いてやる」

俺は同じ言葉を繰り返すのみだった。
テラヘタレ。
勇者なら学校乗り込むのかもな。
俺は勇者でもなんでもなかった。

夏休みに入ったが、雫は我が家にたまに出入りしていた。
同じアパートに住む大学生友達からは「援交?ww」って冷やかされたが、「家庭教師のバイト」と言っておいた。
どう見ても言い訳にしか聞こえなかっただろう。

事実、俺は雫の勉強を見てやった。

雫は「教科書読みにくいけど、教えてくれw」と言って、イジメをものともせずに学んでいた。

以前より雫は強くなっていた。
雫は俺に心を開いてくれているようだった。

「この悪口、テラ幼稚ww」

そう言ってイジメをネタに2人で盛り上がったりした。
単に強がっていたのだろうか・・・?

俺のカロに雫を乗せて出かけたりしたら喜ぶかな~・・・とか思ったけど、何故かそこまでしたらいけない気がして、本当に家庭教師と話し相手で終わっていた。

雫「大学では何を学んでるの?」

俺「今は病理学とか薬理学だな」

雫「ビョウリガク・・・?ヤクリガク・・・?ナニソレ?」

俺「教科書見せてやるよ」

教科書を机に置いてそれを眺める雫だったが、次の瞬間、お茶を机にぶちまけた。

俺&雫「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」

俺は貧乏だったから書籍は極力丁寧に扱っていたから、ショックだった。

雫「・・・ごめんなさい」

俺「(あーぁ、こんなにしちまって)まぁ仕方ねーな。お前の教科書と一緒だなw」

雫「wwww」

こんな感じで、雫と俺は仲良くなっていた。

ある日、ピンポンが鳴ったので雫かと思ってドアを開けると、そこには雫と雫母がいた。
雫は俯いたまま、黙っている。

雫母「先生、ちょっとお話したいことがあるのですが、お時間よろしいですか?」

つまり雫母は俺と雫が男女の関係になっていないか心配だったようだ。
確かに、大学生が自宅で、しかも無料で中学生に勉強を教えるのは不自然極まりない。

俺はイジメのことを雫母に言おうか迷った。

雫母「あの・・・いつもタダで教えていただいては恐縮ですし、先生にもお邪魔でしょうし、もう家庭教師は辞めさせようと思っています」

俺「はぃ・・・(そりゃそうだろうな、俺から雫を遠ざけたいよな)」

雫母「今までありがとうございました」

雫「待って!家庭教師だけじゃないの!でもね、先生と一緒にいるのってとても楽しい。だから辞めさせないで、お願い!」

正直、俺が雫の中でどれほどの存在になっていたかは知らなかった。
しかしこの言葉に俺は不覚にも目頭が熱くなった。

母親は「やはり・・・(交際してるのね)フムフム」みたいな顔を俺に向けている。

俺を軽蔑するような目をしていた。

(いや、違うんですケド・・・)

雫が語り始めた、もう真実を言うしかなかった。
自惚れるわけではないが、言わなければ俺とは会えなくなるからだ。

中学校でいじめられていること、事故に遭って俺に出会ったこと、俺がやったこと・・・。

雫母は驚きを隠せなかったようだが、イジメに耐えていた雫と、それに気づけなかった自分に涙していた。
そして「先生、これからもよろしくお願いします」と言って、頭を深々と下げた。

その後、教師と保護者の話し合いが持たれたが、この教師が役立たずで、ほとんど何もしてくれなかった。
雫はイジメに関して多くを語らなかったが、イジメを行なう生徒と向かい合って話し、自らの力でイジメを終息させたらしい。
イジメを自分で終息させるってすごくね?

雫は中学生としての平穏を取り戻したようだ。

(俺の役目は終わった・・)

そう思っていたが、雫は相変わらず「腹減った」と自宅へ来て、お菓子を貪って帰っていった。
たまに夕飯作ってくれたりした、料理下手だが。

家庭教師として雫と接していたが、母親からは謝礼を頂くようになった。
激安ではあった(時給300円くらいw)が、もともと謝礼なんてあてにしていなかったので気持ちが嬉しかった。
しかし、その謝礼もお菓子となって雫の胃袋へ落ちていった。
むしろ赤字。

雫家で勉強を教えることも提案したが、雫は俺の家での指導を希望した。
雫は、母親のことが苦手とかそういうわけではないが、母親の前ではどこか緊張してしまうようだった。
雫母も俺を信用してくれているようで、俺の家で指導を続けた。

雫が中学校の卒業式の日に挨拶に来てくれた。

雫「先生、私、最後の半年間はとっても楽しかった」

俺「(最後の半年ってのが寂しいが)そりゃあよかったな、卒業おめでとう」

雫「先生がいなかったらイジメを止める勇気もなかった、自殺も考えてた。先生には感謝してる」

俺「そうか」

俺は卒業のプレゼントとして花束を用意していた。

雫「ナンダコレw」

俺「まぁ受け取れ、元気でやれよ」

俺に下心が無いと言ったら嘘だった。

雫は公立高校に進学した。
入学後しばらくして挨拶に来てくれた。

高校では吹奏楽部に入部し、楽しく生活していた。
部活が忙しい上に、雫の家から高校への通学路から俺のアパートが外れていて、我が家を訪ねてくることもめっきり減った。

それでもたまに「腹減った」はあったし、テスト前などに勉強を見てやった。

勉強はよくできたし、要領も良かった。
たまに夕飯作ってくれるのは変わらないが、部屋の掃除とかまでやるようになった。

「先生には勉強タダで教えてもらってるからね!」と言っていた。

(・・・可愛いな)

この頃、雫は女性らしくなっていった。
化粧もするし、胸も出てきていた。
俺は雫のことを女性として認識するようになってしまっていたのである。

何で女子高生が俺の家で菓子食ってんの?何で?
これ、何なの?家庭教師系とかエロくないか?

・・・なんて意味も分からずパニクってしまう事があった。

雫→高2、俺→大5の冬。

俺「お前、大学どうんの?」

雫「行かない、就職する」

俺「母親とは相談したのか?」

雫「してない。だって私の人生だもん、そもそもお金ないし、お母さん助けたいし」

俺「でもなぁ、云々かんぬん(←俺が若者だったら絶対にUZEEEEE!って思う内容)」

雫「うるさいなぁ、私の勝手でしょ!もう勉強は高校までで良いよ!」

俺「云々かんぬん(←俺が若者だっ以下略)」

雫「私立大学行ってるお坊ちゃまに、私の気持ちなんか分からないよ!もう帰る!」

俺「ちょっと出掛けよう」

雫を誘って海に行った。

もう冬だから誰もいなかった。
しかも寒かった。

そこで何を話したかはよく覚えていない。

緊張していた。
女性をどこかに連れて行くなんてこと、したことないし、恋人なんて高2以来居ないし。

とにかく人生やら、勉強やらの事を話し、結局ヘタレな俺は「雫の好きにすれば良い、ただ後悔だけはするな」ということを言ったと思う。

助けてやりたかったが、ただの学生に何かできるわけではない。
たまにカロで雫家の前を通るが、偶然お母さんを見つけて話しかけてみた。
雫は大学進学と就職で悩んでいるようだった。

「親としては多少苦しくても進学して欲しい、じっくり話し合うつもりだ」と言っていた。

俺は「雫はお母さんの気持ちも、自分自身の気持ちも十分判っている。結論を出したら反対しないでやってください」とだけ言った。

雫はその後も勉強を教わりに来たが、それも高3の6月で最後になった。

1年前、俺は大学病院に就職が決まり、当分引越しする予定も無かった。

(そういえば雫も卒業だな。結局就職したのかな・・・家に行ったら迷惑かな)

俺がそう思っていたら、ピンポンが鳴って雫が訪ねてきた。

雫「よかった、先生まだ住んでた。引越してなくてよかった、久しぶりw」

久しぶりにあった雫はもう随分大人びて、綺麗な女性になっていた。
カロの前に飛び出してきた中学生の姿はもうない。

俺「あぁ、久しぶりだな、大学病院に勤めるから当分はここにいるつもりだ」

雫「そうなんだ。でね、私、やっぱり就職することにした」

俺「・・・そうか、お前が出した結論なんだな、よく頑張ったな」

雫「へへ、何?褒めてくれるの?」

俺「あぁ」

雫「実はね、先生。結構前だけど、就職決まったよ」

俺「そうか、そりゃぁおめでとう、悪いが今回は花束はないが」

雫「wwwでね、私、この街出ていくことになった。お母さんは心配だけど、ちょっと都会にも行ってみたいし、地元は就職口少なかったし。でも最終的には地元戻ってくるつもり」

俺「そうか、元気でな」

雫「うん・・・」

しばしの沈黙。

正直、辛かった。
できればずっと一緒に居たかった。
この街を出て行ったら、また他人になってしまう気がした。
俺は焦るというか、悲しむというか、そんな気持ちを抱いた。

そして俺は完全に血迷った行動に出た。

俺「なぁ雫・・・結婚しないか?」

雫「え・・・?」

俺「結婚しないか?」

雫「けっこん?」

俺「あぁ」

雫「まだ付き合ってもいないのに?w」

俺「あぁ、そうだ」

雫「キスもした事ないのに?w」

俺「じゃあ今からしよう」

雫「私に彼氏がいたらどうすんの?w」

俺「お前がそういう事を言う場合、おそらく彼氏はいない」

雫「うざwそういう理屈っぽいところ嫌い」

俺「じゃあ理屈抜きで結婚しよう」

雫「少しは考えてものを言えw」

しばしの沈黙・・・。

俺「結婚しよう」

雫「ちょっと黙っただけじゃねぇかw」

俺「結婚しよう」

雫「言い方の問題じゃねーよw」

雫「・・・考えておくwまた明日来る」

なんでこんな行動に出たのか分からない。
ただ雫と一緒にいたい=結婚だ!という、恐ろしく短絡的で直感的な結論に至った。
雫は冗談だと思ったかもしれないが、俺は本気だった。

次の日、雫が家に来た。

雫「・・・昨日のアレ、本気なの?」

俺「あぁ」

しばしの沈黙。

俺は雫をそっと抱いた。
泣いているようだった。

初めて雫をこんなに間近で見る。
良い匂いが漂う。
頭を撫でた。

雫は俺の胸に顔を押し付けた。
雫がそっと抱き返してきた。

俺たちはそのまま抱き合っていた。

俺「俺がお前を支える」

雫「うん」

俺「ずっと一緒にいよう」

雫「うん」

俺「一緒に幸せになろう」

雫「・・・うん」

俺「毎朝味噌汁作ってくれ」

雫「うん」

俺「一緒の墓に入ろう」

雫「土葬?火葬?」

俺「・・・そこか」

雫「うん」

こんな意味不明な会話を交わし、俺たちは初めてキスした。

結局雫は就職を取りやめ、俺と同棲することになった。
しかし2人で冷静に考え、結婚は早すぎるという事で付き合うことになった。

雫母は「やっぱりあなたたち最初から・・・?ニヤリ」みたいな事を言ってたが、快諾してくれた。

すみません、本当に最初は違うんですケド。

俺の両親も「早く孫が見たいわ~」と言っていた。

俺の両親との会話。

雫「初めまして、雫です。俺さんとお付き合いさせて頂いております。(以下略)」

俺父「いや、こんな俺ですけどね、よろしくお願いします」

俺母「理屈ばっかり言う子ですが、イラついた時は遠慮なく・・・」

俺「おいおい・・・」

雫「はい、ぶっ殺しちゃいますw」

雫以外「え・・・」

雫「(俺の方を見て)土葬がいい?火葬がいい?」

俺「wwww」

雫「お義母さんは、どんな味噌汁作るんですか?」

俺「wwww」

両親「???」

ついこの間、カロを買い替え、新車で役所に行って入籍してきました。

2人が事故を起こした日に。

カロにはもちろんペダルの跡。
2人が出会った瞬間が刻まれています。
この傷と俺たちは並んで写真を撮りました。
人と人が出会った瞬間が今も残っていることが、なんだかとても珍しい気がしたので。

でも出会った時は、ただの他人だったんです。
そこでその瞬間と決別して、他人じゃなくて夫婦になりたいねってことで、納車と入籍の日を合わせたわけです。
カロとの別れは惜しかったけど、新しい車と共に夫婦はスタートしました。

終わりかよ、ってガッカリしている方もいるかもしれません、ごめんなさい。

「どうせ釣りだろ、乙」っていう人もいるかもしれません、各自で判断してください。

これから雫と幸せな家庭を築けたら、と思います。

人生本当に何があるか分からない。
人身事故だって出会いになるんですよ。

みなさんも普段の生活の中に、『何か』があるかもしれません。
事故はよくないけど。

最後になりますが、長文乱文にも関わらず読んでいただいてありがとうございました。
完全に自己満足です。
文才がなく、読み苦しい部分も多くあったと思いますが、最後まで読んでくださった皆様に心より感謝いたします。

好きな味噌汁の具はネギと豆腐です。
雫はほとんど毎日味噌汁作ってくれますが、夏にはキュウリとかトマトを具にしようとしていました。

夏野菜だったらナスはOKかと思います。

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